心と身体を健康にする呼吸の効力 ②
呼吸法からはじまる全身のリラックス
人は内臓や神経を意識的に動かすことはできませんが、唯一、呼吸をコントロールすることで内臓や神経に働きかけることができます。その有効な方法の一つが腹式呼吸です。
深く息を吸い込む腹式呼吸では、酸素が効率良く供給され、細胞は栄養を取り込みやすくなり、代謝が活発になります。また、肌や内臓に、老廃物をため込むことなく排出しやすくなるといわれています。
それから、先に述べたとおり腹式呼吸は横隔膜を上下させることにより行う呼吸法ですので、横隔膜の下にある多くの内臓をマッサージすることになります。胃腸の働きを活発にするなど内臓の機能を高めてくれるので、便秘などの症状が緩和されます。全身の血行も良くなり冷え性の改善も見込めます。
同時に、ゆっくりとした深い呼吸によって副交感神経が刺激され、血管が開き、筋肉は弛緩します。血圧の上昇が抑えられますし、全身の細かい血管にまで血液が行きわたり、身体はリラックスした状態になります。このリラックス効果が、現代人の抱えるストレスをケアし、精神的にも落ち着きが出て、いきいきとした健康が保てるというわけです。
まずは呼吸に意識を向けて自律神経をコントロール
このように、深くゆっくりと呼吸をすることは、実は身体にとって非常に重要なことです。しかし、忙しい現代人はいつも浅い呼吸をせわしなく繰り返しているようです。
日常生活で深い呼吸を心がけることは誰にでもできる簡単なことです。ほんの少しでも時間を見つけたら、呼吸に意識を向けて、深い呼吸をしてみてください。それだけで心と身体の状態が今までよりも良くなるはずです。
本格的な腹式呼吸は、最初は少し難しいかもしれません。身体のどの部分を使って呼吸をしているのか、意外とわかりづらいものです。そんな方は、首や肩の力を抜くこと、そしてゆっくりと深い呼吸をすること、それだけを守ってください。日々習慣として取り入れていくうちに、自然とできるようになってくると思います。
また一方で、ここぞとばかりに緊張感を持って頑張らなければならないときもあるはずです。そんなときは深呼吸とは逆に浅く速い呼吸を力強く繰り返してみてください。交感神経が刺激され、やる気が出てきます。リラックスするための呼吸、やる気を出すための呼吸、うまく組み合わせて上手に自律神経をコントロールしていきましょう。