かぎろひ


かぎろひ(カギロイと読みます。)厳寒の夜明け前に、希に現れる太陽スペクトルです。

東の空がうっすら明らみ、藍色、桃、淡い橙、茜色へとグラデーションに染まっていく。
さまざまな条件が揃わないと遭遇できない、妖しく幻想的で美しすぎる神秘の自然現象。

奈良県宇陀市が「かぎろひの里」として有名ですが、似た現象なら見ることができます。

子供の頃「朝焼けは雨、かぎろひは晴れ」と教えられたとおり、必ず冬晴れになります。
太陽の暖かさ、月の満ち欠けと同じように、かぎろひもまた宇宙を感じさせてくれます。

東(ひむがし)の 野に炎(かぎろひ)の 立つ見えて
かへり見すれば 月傾(かたぶ)きぬ (柿本人麻呂)

夜明けが遅いこの季節、特別早起きをしなくても、かぎろひの予定時刻に立ち会えます。
晴れて寒い冬の早朝、運だめしに夜明け前の壮大なスペクタクルの開幕を待ってみては?

運が良ければ西の空には、有明(ありあけ)の月が・・・見られたらYou are mighty lucky!

心に余裕があるから、空を見るのではなく、空を見るから、心に余裕が生まれると言われます。
青空、曇り空、夕焼け空、夜空、明け方の空、そしてかぎろひ。
空はいつも違う表情を見せてくれます。

人間の心もそんなものだと教えてくれるようですね。
空を見るということは、自然と心が落ち着いて、リラックス効果がありストレス緩和にも効果があるそう。

確かに、無限に広がる空を見ていると、「なんで自分はこんな些細なことで悩んでいるのだろう」と思えてしまいます。
自分の世界はいかに小さいかを、大きな空を見上げることで実感させられるよう。

特に、かぎろひのような刻一刻と変化するような美しい空を見ると、こんなに美しいものを見て感動できる心があることと、美しいものを見れる目があること、今、そんな自分が生きていられることに感謝すら覚えます。

日々の生活で小さな事にも目を向けられるようになり、小さなことでも当たり前のことと思わず、感謝ができるようになることは簡単なようで、実は難しくもあったりします。

人は期待してしまったり、慣れてしまう生き物なので、例えば会社で働いていることも「当たり前のこと」と思いがちです。
しかし、健康で働ける身体があること、自分を必要としてくれる会社があることは、ありがたいこと。
例え自分のスキルが高いから必要とされているとしても、そのスキルの基盤を作ってくれた、良い教育を受けさせてくれたのは両親や、あなたの周りの人のおかげ。
何事も「ありがたい」と思える心を持つと、不思議と心も穏やかに過ごせますよ。

空を見て、感謝する心を忘れずに。