尿素回路~3つのアミノ酸とスイカ

有毒物質を解毒する尿素回路

私たちのすこやかな毎日は、細胞一つひとつの正常な働きによって支えられています。臓器・血管・血液・筋肉・皮膚、さらに、身体の働きを調整する酵素、ホルモン、免疫物質もすべて細胞の集まりによって成り立っています。

そしてこれらの細胞を構成する主な成分はタンパク質です。つまり、生命の維持に欠かせないタンパク質を食事でしっかり補給することはとても大切なことなのです。

その一方で、タンパク質はそのままの形で体内に吸収し、細胞で利用することができないので、消化の過程でアミノ酸に分解されますが、このとき私たちにとって大変有害な「アンモニア」が発生してしまいます。

しかし私たちの身体には、この有害なアンモニアを分解し、身体に無害な尿素に変換する「尿素回路」と呼ばれる解毒機能が肝臓に備わっているおかげで、すこやかな毎日が保たれているのです。

身体に有害なアンモニアとは?

身体にとって有害なアンモニアは、本来、尿素回路によって解毒される物質なのでそれほど心配はいりません。しかし、現代社会に生きる私たちは食の多様化や生活環境におけるさまざまなストレス要因によって肝臓の機能が著しく低下している傾向にあり、尿素回路の衰えが問題視されています。

アンモニアが身体に及ぼす影響のひとつに、細胞活動の低下があります。私たちの生命活動の源となる細胞のエネルギー産生能力がアンモニアによって妨げられると、新陳代謝の低下や免疫力の低下など、身体のあらゆる機能、器官に支障をきたします。

さらに、神経細胞のエネルギー産生能力の低下、神経伝達物質の減少も招き脳障害などにもつながることもあります。

つまり、尿素回路の働きを活性化し、アンモニアの解毒をスムースにすることは、健康と美容の維持につながるということです。

尿素回路を支える3つのアミノ酸

尿素回路におけるアンモニアの解毒には、体内で合成されるオルニチン、シトルリン、アルギニンの3つのアミノ酸が関わっています。肝臓の中でこのアミノ酸が増加すると尿素回路の働きが活性化し、アンモニアの解毒が促進されます。

ところが加齢や現代社会におけるストレス要因の増加によって体内のアミノ酸は徐々に減少していきますので、積極的に補っていくことが必要です。その場合、尿素回路における3つのアミノ酸は、お互いがお互いに変換し合う関係なので、どれかひとつを補うことで尿素回路全体が活性化されます。

中でも利用効率の高さや安全面でも評価されるとともに、血管の老化予防にも大きく貢献するのがシトルリンです。毎日の食事ではウリ科の植物に比較的多く含まれるので、日頃の食事から意識して取り入れていきましょう。

ウリ科の植物

西瓜(スイカ)、南瓜(カボチャ)、胡瓜(キュウリ)、苦瓜(ニガウリ)など