マクロビオティックで「天使の笑顔」に…

「マクロビオティック」という言葉をよく耳にするようになりました。海外のセレブ達が実践する食事法として有名になり、高級ホテルのメニューにも取り入れられています。

ですが最近は、やたらとマクロビ〇〇というネーミングが使われ、言葉だけが一人歩きしているようにも感じます。

「マクロビオティック」という言葉は、ギリシャ語の「偉大なる生命」「長寿」を意味する「マクロビオス」が語源です。医学の父ヒポクラテスは、食物と環境に充分に配慮した人間の生活方法のことを「マクロビオティック」と呼びました。

マクロ=大きな、ビオ(バイオ)=生命の生き生きとした、ビオティック=生活法・若返り術という意味があります。

マクロビオティックを世界中に広めた久司道夫氏いわく、人間の顔は食生活次第で「天使の顔」にも「悪魔の顔」にもなるそうです。

マクロビオティックは、単なる食事法ではありません。栄養価やカロリーだけでなく、食物の持つ生命力やエネルギーを重視しています。

食品はできるだけ丸ごと全体を食べる。穀物や塩、糖類は精製していないものを使う。食品にはカラダを温めたり、冷やしたり、水分を蓄えたり、排出させたりというように正反対の作用があります。

また、マクロビオティックでは「中庸」を大切にします。中庸とは適度、丁度よいという意味です。それは、心地よい、気持ちよい状態のことです。カラダの健康だけでなく、穏やかで平和な心、バランスのとれた思考の原動力になります。マクロビオティックとは、カラダも心も気持ちよく生きるための実践哲学ともいえます。

野生の動物たちは、本能的に自らの命のために何を食べるのが良いのか何を食べない方が良いのかを知っています。時には食べるのを止めることで体調を整える術(すべ)まで心得ています。

一方で私たち人間は、カラダの声を聞くことなく何でも食べます。人間は、口から摂り入れた食べ物でできています。マクロビオティックを知って積極的に食べた方が良い食品と、時々食べる程度にした方が良い食品、できるだけ食べない方が良い食品を知り実践してみると、それがいかに自然で心地良いかをカラダで理解することができるようになります。

その後は、カラダが自然に好ましいものと好ましくないものを選別するようになります。もしかすると本来は人間にも備わっているはずの本能が呼び覚まされるのかもしれません。

食に関して豊かになり過ぎた国に暮らす私たちは、遠い産地の食材を取り寄せて食べることができます。望めば世界中の食品を簡単に手に入れることもできます。

一方で生活習慣病をはじめとする健康問題、食の安全性に関する不安、食料自給率40%という現実など、「食」に関するさまざまな問題を抱えています。

カラダの内側の声に耳を傾けながら「食」について考えてみることも時には必要ではないでしょうか。