心身の健康と美容のために ~香りと脳~ -後編-


 

香りを生活に取り入れて ストレスフリーな毎日を!

植物の香りは古来より治療や儀礼などに用いられてきました。それがアロマテラピーと名付けられたのは意外と新しく20世紀に入ってから。フランスの科学者ガットフォセが「アロマ(芳香)」と「テラピー(療法)」を合わせた造語「アロマテラピー」を自身の著書のタイトルにしたのが始まりです。
発祥の地であるフランスやベルギーでは医師の診断のもとエッセンシャルオイルが処方され治療目的で内服されることもあるそうです。イギリスでは美容やリラクゼーションの分野での活用が盛んで、日本もこの流れをくんでいます。
日常生活にはさまざまなストレス要因が潜んでいます。人間関係や過度の疲労など、ストレスから完全に逃れることは不可能と言ってもいいでしょう。ストレスを受けないようにするのではなく、受けたストレスを上手に解消させて、自分自身をリセットした状態に戻すことが心身の健康には不可欠です。
そこで活用したいのが香りです。森林浴で癒されるのは植物から発散する匂い物質に精神疲労を緩和してくれる効果があるから。他にも、例えばウイスキーは飲まなくても香りを嗅ぐだけで脳の血流量が高まるという実験結果も報告されています。
香りは「感じる脳」にダイレクトに働くので即効性があるのも嬉しいところ。小さなビンに詰めて持ち歩くことも可能ですから、いつでもどこでも手軽にその効果を受けることができます。自分が心地よいと感じることが何よりもの癒しです。自分の好きな香りを見つけて、さっそく生活に取り入れてみましょう。

 

プルースト効果 ~香りが記憶を呼び覚ます~

何かの匂いを嗅いで、昔の想い出がよみがえった経験はありませんか?
例えば、ある香水の香りで昔つきあっていた恋人を思い出したり、たき火の匂いで小学生の頃のキャンプファイヤー、そして同時に大好きだった先生を思い出したり…。これは匂いが感覚を司る大脳辺縁系をダイレクトに刺激することと関係があります。大脳新皮質で「これは香水の香り」と認知する前に、まず大脳辺縁系が先に反応して本能や感情に訴えかけ、記憶が呼び覚まされるというわけです。そのとき同時に、昔の感情までよみがえるのだそうです。偉大なる香りの威力!ちなみにこれを「プルースト効果」と呼ぶのはフランス人作家プルーストが著した20世紀を代表する名著「失われた時を求めて」の中でこの現象が印象的に描かれているからだそうです。