長靴をはいた猫 ~フランスから始まるライフスタイル~

 

「赤ずきんちゃん」や「シンデレラ」、きっと聞き覚えがあるのではないでしようか?フランスではこのような童話やおとぎ話が昔から時代を越えて語り継がれ、世界中の子供たちに愛されるようになりました。
今回は17世紀に太陽王ルイ14世に仕えたフランスの詩人シャルル・ペロー(Charles Perrault)の童話集から、「長靴をはいた猫」をご紹介します。

長靴をはいた猫~LE CHAT BOTTÉ~

ある貧しい粉引き職人が3人の息子に遺産として残したのは、粉引き小屋とロバと猫でした。長男は粉引き小屋、次男はロバ、三男は猫をもらいました。

「猫なんてなんの役にも立ちはしない…」とがっかりしている三男に、「あなたがもらったものは、そんなに悪いものではないですよ。どうか私に一足の長靴をください。きっとあなたのお役に立つことでしょう」と猫は言いました。

三男は不思議に思いながらも猫が言った通り用意してあげました。猫はさっそく長靴をはき、ウサギを捕まえ、国の王様に「カラバ侯爵(三男)からの贈り物です」と言って献上しました。

そんなことを繰り返しているうちに猫と王様はとても親しくなり、ある日、王様と王女様が湖まで散策に出ることを知った猫は先回りをして、三男に湖で水浴びをさせました。

その隙に三男が脱いだ服をこっそり隠し、そこへ王様の馬車がやって来ると、「我が主人、カラバ侯爵が湖で水浴びをしていたところ、泥棒に脱いだ服を盗まれてしまいました!このままではカバラ侯爵は湖から出ることができません!助けてください、風邪を引いて死んでしまいます!」と嘆いてみせました。それを聞いた王様は、家来に王様の服を取って来させました。

豪華な服を身にまとった三男はなんとも若く、とても美しかったため、王女様は大変気に入り、そのまま三男と猫は王様一行と散策を共にすることとなりました。

そこでも猫は先回りをし、馬車の行く先々で作業する農民に「王様がこの土地のことをお尋ねになったら、すべてカラバ侯爵のものだと答えろ。決して魔王大王の土地と言ってはならぬ!」と脅しました。

そんなこととはつゆ知らず、王様はこの広大な領地はすべてカラバ侯爵のものだとすっかり信じ込んでしまいました。さらに猫はまた先回りをし、魔王大王の城に向かい「何にでも化けることができる」と自慢していた魔王大王をねずみに化けさせ、そのまま食べてしまったのです!

間もなくして王様一行が城に到着すると、なんと猫は「カラバ侯爵の城へようこそ!」と言って迎え入れました。

ついさっきまで“貧しい粉引き屋の三男”であったはずのカラバ侯爵・・・。王様はこの広大な領地の主であることに感心し、「ぜひ我が王女の婿になってほしい」と申し出ました。もちろん、三男は断る理由なんてありません。その日のうちに二人はめでたく結婚しました。

長靴をはいた猫もまた、王様になったカラバ侯爵のもとで立派な貴族として幸せに過ごしました。

おしまい

 

教訓

父から子へと受け継がれるゆたかな遣産も大きな利益にはちがいないが、一般に、若者にとっては知恵があったり、世渡り上手であったりする方がもらった財産より、ずっと値打ちがあるものだよ。